『4万円で矯正』の広告をよく目にします
高額な矯正治療が4万円で受けられる!
という広告をよく目にするようになりましたが、皆さんはいかがでしょうか。
そんなに安くなるなんて、怪しい、でも気になる、そんな気持ちではないでしょうか。
矯正の専門の医院から見て、気がかりに思う点がいくつかあり、お話ししたいと思います。
患者さんのお役に立てると幸いです。
*1回の通院で4万円
1回の通院で矯正治療が終了する方は皆無に等しいでしょう。どんなに治療技術があっても1回の来院で終了と言うのはおかしい、と矯正の専門の先生はわかるはずです。にも関わらず患者さんの関心を得るためにこのような広告をされるのは、感心できません。
*治療を終えたくなったら、そこで終了しても良い
治療の終了を患者さんが決める、というのはかなり危険だと思います。
患者さんが満足していてももっと歯を動かすべき時はたくさんあります。
凸凹は治っても、噛んでいなければ、噛んでいる残りの歯に負担がかかり、残りの歯の寿命は短くなりやすいです。
また、噛み合わせが強くて歯に負担がかかっていても患者さん自身が気づいていらっしゃらない時は歯科医師側が指摘して調整する必要があります。
患者さんが気づいていなくても治療が必要な箇所は歯科医師が指摘をし、治療をする。このプロセスがない矯正治療は大変問題だと思います。
*監修の先生が経験豊富でも、実際に治療をする人には経験がない可能性がある。
この安い矯正治療の提供方法を考えたのが、経験豊富な矯正医と言うことですが、実際に患者さんに触れて治療をするわけではないようです。矯正歯科に所属するまだ経験の浅い先生を矯正医として招き、治療を進めていると言うことを聞いたことがあります。矯正歯科は特に経験が必要であることを思うと、恐ろしいことだと思います。
総合的に見て、患者さんの健康については考えない利益優先のクリニックであると思います。実際には噛んでいなくても、凸凹さえ治れば治療を終了とするケースがとても多いことが予想されます。
経験の少ない先生に治療をされる、安全ではない、などを考えると1回4万円の矯正治療は本当に安いのでしょうか?再治療を他のクリニックで行いたくなったら、どうするのでしょうか?
他のクリニックで治療した後に再治療を希望される患者様も残念ながら通院されていますが、全く治療をされていない患者様よりも治療内容が複雑になっており、治療期間が長くかかるということを経験しています。
見た目が良くなれば、それでいいではいけません。
歯を動かすことは大きな危険を伴うことであり、その感覚が抜け落ちた矯正治療を受けることはとても危険な行為だと思います。
副院長
隅田実希