格安のマウスピース矯正が気になる方へ その①
本来のマウスピース矯正よりも数分の1でできてしまうという格安のマウスピースの矯正治療がとても気になる方の助けになればと思い、書いてみます。
今回は特にFacebookで出されていた3件の広告の内容を見てみました。
その①
著名人にこれはすごい!と言わせているものです。
3Dのスキャナーでビフォアアフターを見せ、著名人を驚かせていました。1回だけクリニックへ行けばマウスピースが届くというもの。LINEの手厚いサポートがあり通院はいらないそうで、多忙を極めるビジネスマンにはお勧めだそうです。
何かと文言があり、安心です。
ということですが、
私が気になるところを挙げてみましょう。
*レントゲンを撮影していない
これだけでかなり危険を伴うと考えます。
例えば、埋伏歯の有無の判別ができません。
骨の中に埋もれていた歯と健全な歯の根がぶつかったら、健全な歯の骨が吸収されてしまい、危険です。
骨の中には自覚症状がない疾患もあるので、これを確認しないのは、怖いと思いました。
矯正治療は骨の中が健康であることが分かってから進める必要があるのです。
レントゲン撮影なしで治療開始と言うのは聞いたことがなく、驚きました。
*歯の神経に異常が出てきたら
歯の神経に負担がかかり、マウスピースの交換をしない方が良い時もあります。
神経に負荷がかかって交換しない方が良いという場合も患者さんの判断でどんどん交換してしまえば、歯の神経が死んでいた、ということは少数であっても起きると考えます。
歯の神経に異常が出でも患者さんに痛いという自覚症状がないので、通院が必要がないと言うのは危険を伴います。
*お顔の写真を撮影しない
歯のシュミレーションだけではお顔に対し、どのように歯を並べるのか全く考慮しない治療をすることになります。
顔写真を撮影しないで矯正を始める矯正の先生を存じ上げません。
歯を移動させるにあたり、お顔と歯の関係を一切配慮しない先生が治療するのだと言うことがわかります。
*治療期間の短さについて
短期間で凸凹がはある程度改善はすると思いますが、理想のかみ合わせににするためには多くの患者さんで半年以上の期間は必要であると考えています。
特に日本人は噛み合わせが悪いので、コンプレックスを感じているほどの歯並びの場合は、宣伝通りの短さで完結する方は少ないと予想いたします。
凸凹は治ったけれど、治療の前の方がよく噛めていた。は頻発する内容であると感じました。
*一生懸命はめていても動かない時はあります
歯の移動は患者さんによって様々です。
骨が硬い方、柔らかい方
噛む力が強い方、弱い方
根っこが長い歯、短い歯
年齢
歯の移動のしやすさは患者さんごとによって違うので、当院では初めは1ヶ月で一度ご来院いただいており、その後にマウスピースの交換頻度を決めております。
また、ちゃんと装着できていても、歯の移動が起きていないということもあります。
歯の移動が計画通り起きているかどうか、奥歯までしっかりと噛んでいるかどうか見ていくには、治療終了までに通院は必須であると考えます。
当院では治療終了までに噛んだときの歯の振動も拝見します。振動は写真では見ることができず、治療終了を全く患者さんを拝見せずに迎えることは今までに一度もありません。
*マウスピースとゴムを併用しない
80%以上の方で、良好な歯の移動を行うためにゴムは必須となってきます。
ゴムは今月は使用しましょう、使用しません。
は通院をいただいて、その都度やり方を変えたり、様々なやり方で行います。
このゴムを使った治療を行わないので、やはり、終了時は噛みずらいのではないでしょうか。
*小さな虫歯が見逃されてしまいます
歯を移動させていると歯と歯の間に小さな虫歯が見つかることがあります。
矯正治療をしたから早めに虫歯が見つかった、良かった、ということがあります。そのような時、必要な時は歯の移動を止め、一度一般歯科の先生に虫歯治療のご依頼をすることがあります。
治療の最後までドクターがお口の中を見ないと言うことは、せっかく出てきた小さな虫歯を治療するタイミングが見逃されてしまいます。
*著名人を広告に利用することについて
著名人に素晴らしいと言ってもらっていますが、その方はまだ治療を始めてもいません。いくら頭が良い方でも、矯正治療に関しては、全く知らない方です。シュミレーションやラインサポートを褒めているだけで、治療の質には触れていませんでした。
お名前をあげられているのはスポーツマンや経営者ばかりで、矯正治療に関しては、精通されていない方々が広告に出されています。
まだあげられることがありそうですが、ざっとこのような感じで、利益最優先の治療ではないのかな?と、矯正専門の私は首をかしげています。
とても長くなってしまいました。
その②は追って掲載いたします。
- 矯正歯科治療にともなう一般的なリスク・副作用
- 機能性や審美性を重視するため、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
- 最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
- 治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、一般的に1年~3年を要します。通院回数は1~2ヶ月に1度の通院で、12回から36回程度の通院回数となります。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~3年(通院回数:12~36回程度)、永久歯がすべて生え揃ったあとに行なう第2期治療で1~2年(通院回数:12~24回程度)を要することがあります。
- 歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
- 装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メンテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
- ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
- 治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
- 歯の形状の修正や、噛み合わせの微調整を行なうことがあります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
- 装置を外した後、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置を外した後、現在の噛み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により、噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、歯列に凹凸が生じる可能性があります。
- 加齢や歯周病などにより歯を支える骨が痩せると、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。その場合、再治療が必要になることがあります。
- 矯正治療は、一度始めると元の状態に戻すことが難しくなります。