運送会社によるマウスピース矯正治療について日本矯正歯科学会の見解が発表されました。
下記内容が日本矯正歯科学会より発表されました。
2022年 6 月 1 日
『宅配大手企業が歯科矯正用マウスピース装置を製造し、患者に直接配送するサービスを 開始した』の報道に対する見解
今般、テレビやインターネット等を介して、各報道機関より『宅配大手企業が歯科矯正用 マウスピース装置を製造し、患者に直接配送するサービスを開始した』とのニュースが配信 されました。
本報道内容に関して、公益社団法人日本矯正歯科学会は、歯の位置や咬合を持続的に変化 させるマウスピース装置(アライナー型矯正装置)を歯科医師による対面診療を基盤とせず 患者に配送するサービスについて重大な懸念を抱いております。
本学会としましては、厚生労働省、経済産業省、公益社団法人日本歯科医師会等とも協議 しながら、矯正歯科領域の我が国を代表する学術団体として調査・対応等を図っていきたい と考えております。
本学会は今後も適切に情報のご提供をさせて頂きたく考えておりますので、国民の皆様方 におかれましては、引き続き安全・安心な矯正歯科治療の普及に向けて、ご理解とご協力を 賜りますようよろしくお願い申し上げます。
公益社団法人日本矯正歯科学会
当院では写真では確認できないう蝕治療や歯の揺れの状態なども把握して参りたいため、遠隔治療は行なっておりません。
学会が遠隔治療を行う運送会社による矯正治療に重大な懸念を抱いているということに賛同いたします。
安いことは魅力ではありますが、格安のマウスピース矯正治療を提供する会社に勤務されたいた方が、家族には勧めることができない治療を提供して行くことが辛くなったと退職されているお話を直接聞いたりすることからも、格安マウスピース治療には多くの問題があるのではないかと感じております。
これから矯正治療を始める方には、その矯正治療が安全であるかどうかに関しても判断基準に入れられると良いかと思っております。
参考までに判断基準となること記載させていただきます。
矯正治療を始める前に少なくともレントゲン撮影、歯の型取り、写真撮影を行なわれ、それについて詳細を聞くことができる。
矯正治療を担当する先生と直接話をすることができる。
担当する歯科医師にワイヤーの矯正治療経験がある。
これらを満たしているかいなかだけでも安全な治療を大きく左右すると考えており、治療前にわかると良いかと思います。
あさひ矯正歯科医院
副院長
隅田実希
- 矯正歯科治療にともなう一般的なリスク・副作用
- 機能性や審美性を重視するため、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
- 最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
- 治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、一般的に1年~3年を要します。通院回数は1~2ヶ月に1度の通院で、12回から36回程度の通院回数となります。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~3年(通院回数:12~36回程度)、永久歯がすべて生え揃ったあとに行なう第2期治療で1~2年(通院回数:12~24回程度)を要することがあります。
- 歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
- 装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メンテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
- ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
- 治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
- 歯の形状の修正や、噛み合わせの微調整を行なうことがあります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
- 装置を外した後、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置を外した後、現在の噛み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により、噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、歯列に凹凸が生じる可能性があります。
- 加齢や歯周病などにより歯を支える骨が痩せると、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。その場合、再治療が必要になることがあります。
- 矯正治療は、一度始めると元の状態に戻すことが難しくなります。