経営のための矯正( ; ; )と患者さんのための矯正^^
歯科医師向けの広告に、『経営のために矯正治療を取り入れましょう!』という内容のものが多く認められるようになりました。
私の頭の中は『???』です。
矯正治療はクリニックの経営のためにあるのではなく、患者さんを救うためにあるのではないか、ということが自論です。
矯正を始めて初年度から年間で100名以上の矯正患者を得ることができた、というような広告が大々的に出ておりますが、矯正治療経験のない先生が初めから1年間で100人も患者さんを見始めることは私には恐ろしいと感じました。
おそらく、矯正治療に真摯に取り組む先生には賛同していただけると思います。
矯正治療を真剣に始めるドクターは矯正を指導してもらえる先生に常に助言をいただける状態で勤務、もしくは研修を始め、年間で、とてもではありませんが、100名の患者さんを担当することはないのができないことが実情であると思います。
例えば、私は大学附属病院の矯正歯科に研修生として入局した時は一年目で10名の患者さんさえ担当していませんでした。(座学や技工などを臨床を始める前の修行がとても長くありました)
矯正治療を学んだのは学生時代でセミナーに数回出席したのみでどんどん患者さんの数を増やしていくことは危険であると感じますが、現状そのような矯正治療はここ1、2年で蔓延し始めています。
なぜ危険かというと、患者さんごとによって歯の移動の反応は違いますし、矯正治療によって患者さんの健康を損なう危険性が十分にあり、治療技術の取得には長期間がかかるはずであるからです。
でこぼこだけ治れば良い、ではなく、ちゃんと噛みやすくしたり、呼吸がしやすくなったり、見た目以外のことを考慮した矯正治療が真の矯正治療であると考えます。
矯正治療は一生を左右するものなので、大きな責任を伴います。
先日は一般歯科の先生から、矯正治療は患者さんの一生を左右するものだから、自分は責任が重くて気が狂ってしまいそうです、とお話しされている先生がいらっしゃいました。私はそのような考えを持たれる先生に非常に共感します。矯正治療は患者さんの一生を左右する、私は日々それを心に留めて治療に当たらせていただいております。
院長
隅田実希
- 矯正歯科治療にともなう一般的なリスク・副作用
- 機能性や審美性を重視するため、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
- 最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
- 治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、一般的に1年~3年を要します。通院回数は1~2ヶ月に1度の通院で、12回から36回程度の通院回数となります。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~3年(通院回数:12~36回程度)、永久歯がすべて生え揃ったあとに行なう第2期治療で1~2年(通院回数:12~24回程度)を要することがあります。
- 歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
- 装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メンテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
- ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
- 治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
- 歯の形状の修正や、噛み合わせの微調整を行なうことがあります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
- 装置を外した後、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置を外した後、現在の噛み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により、噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、歯列に凹凸が生じる可能性があります。
- 加齢や歯周病などにより歯を支える骨が痩せると、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。その場合、再治療が必要になることがあります。
- 矯正治療は、一度始めると元の状態に戻すことが難しくなります。